阪急京都線の謎種別「快速」から京都線のクセの強さを見る
快速なんてありましたっけ?
はい、確かに走っています。阪急京都線の「快速」。
走っているのは平日早朝の梅田方面が3本、夕方の京都河原町方面が7本のみ。土休日の運転は無く、印象が薄いのも仕方なしでしょうか。
京都線ダイヤ 基本のキ
京都線のダイヤで軸になるのが、特急、準急、普通の3種別です。
特急は速達種別で、大阪梅田・十三・淡路・茨木市・高槻市・長岡天神・桂・烏丸・京都河原町に止まります。京阪間と途中の各都市の速達需要を担います。
普通は各駅停車(ホームの無い中津駅のみ通過)ですが、日中に大阪方から京都方面へ向かう普通は全て高槻市止まりとなります。
特急と普通の間を補完しつつ、普通の代わりに高槻市-京都河原町間の各駅需要を担うのが準急です。特急停車駅に南方・上新庄・南茨木を追加し、高槻市-京都河原町間は各駅に停車します。
日中の運行形態 |
ラッシュ時には当然本数が増え...ない!!
通常の鉄道路線では、ラッシュ時間帯になると列車本数が増えますが、阪急京都線は増えません。
というより、日中でも3種別が10分おきに走っていますから、一日中ラッシュ時の本数のまま走っているという方が正しいかもしれません。
大阪梅田駅の時刻表。右から神戸線、宝塚線、京都線の順。
京都線だけ日中でもラッシュ時と変わらない本数で運転されていることが一目でお分かりいただけると思います。
このような運転形態となった背景には、日中に観光客の利用が多いこと。特にコロナ前は外国人観光客が多く、平日休日問わず特急に乗客が集中することから、一種の遠近分離として準急を走らせる必要があるためと思われます(準急は高槻市までは先着します)。
京都線のエース、9300系の特急。 3扉の9300系投入の背景には、特急の需要増加も関係しています。 |
ラッシュ時に起こること
ラッシュ時に本数は増えない京都線ですが、いろいろな変化が起こります。
特急が通勤特急と快速急行に換わります
特急と比べて、西院・大宮に停車する代わりに淡路を通過するのが通勤特急。西院・大宮に停車し、淡路にも止まるのが快速急行です。
日中は10分おきにやってくる特急ですが、ラッシュ時には通勤特急の10分後に快速急行、その10分後に通勤特急と交互にやってきます。
これにより、京都市内中心部の西院・大宮には全列車が停車することになります。
快速登場!
おまたせいたしました。快速が登場します。
準急の内の数本がこの快速に置き換わります。
冒頭で述べました通り、平日早朝の梅田方面が3本(内2本が長岡天神発)、夕方の京都河原町方面が7本のみ。大半の快速が京都方面の帰宅ラッシュに対応するために走ります。
大阪梅田-高槻市間は準急と同じ停車駅ですが、快速は高槻市より先も通勤特急・快速急行と同じ停車駅で通過運転を行います。
この快速について重要な要素は、終点京都河原町まで先着するということです。
これにより、京都方面の速達列車を増やし、通勤特急・快速急行から乗客を分散させることができます。
高槻市に入線する快速 |
しかし、単に準急が快速に置き換わっただけでは、高槻市-京都河原町間の各駅停車の本数が減ってしまいます。そこで...
普通を京都河原町まで延長運転
快速の5本前に大阪梅田を発車する普通は京都河原町まで運転します。快速は高槻市で、この普通 京都河原町行に追い付き、接続します。
ちょうど日中に特急が準急に接続するのと同じ形で乗り換えができます。また、長岡天神でも準急に接続します。
高槻市で緩急接続をする快速と普通 京都河原町行 |
ちなみに、早朝に3本だけ大阪梅田行の快速が走る理由については、早朝の本数が少なくかつ特急も走っていない時間帯のため、通過運転しながらも準急停車駅の需要も拾う狙いがあると思われます(2010年のダイヤ改正前は、快速急行が走るスジでした)。
ところであんた 急行じゃないのか?
おそらく多くの方が感じているであろう(?)、京都線には特急、準急はあるのになぜ急行は無いのか?という件についてです。
以前京都線では急行が走っており、2007年に準急に引き継ぐ形で廃止されています。
快速は2010年に登場した新しい種別ですが、序列から考えれば、
特急→快速急行→快速→準急→普通
と、快速急行と準急の間なのだから急行でいいじゃないかと思うのは筆者だけではないはず。
なぜ伝統の急行の名を復活させなかったのでしょうか。あえて新しい印象を吹き込みたかったのでしょうか。
2014年登場の1300系は急行運用の経験がない。 |
阪急京都線 クセ強し
今回は快速を主役として、阪急京都線の運行形態について見てみましたが。どうですか?うまいことできてるなーと思いませんか。
実はまだまだこの路線には面白い要素が多く、かなりクセの強い路線です。
利用される際はいろんな部分に目を向けながら乗ってみてください。
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