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新京阪鉄道が開発した住宅地 西向日住宅地

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 現在の阪急京都線は、元々京阪電鉄の子会社である新京阪鉄道の路線であったということは鉄道ファンの間ではそれなりに知られている事かと思いますが、新京阪鉄道が開発した西向日住宅地についてはご存じでしょうか。 西向日駅は昭和3年(1928年)に西向日町駅として開業しました。元々、向日町(現:向日市)に新京阪の駅は一つだけ作る予定であったようです。しかし、町内南北で誘致合戦が繰り広げられ、最終的には片方の駅に鉄道会社直営の住宅地を開発できることを条件に二つの駅が設置されることとなります。これが西向日町駅と東向日町駅であり、この条件の下約束された住宅地が今回のテーマである西向日住宅地です。 駅開業の翌年には駅東側の一面に広がる竹藪が切り開かれ、宅地の造成が始まります。 宅地は当時流行りの「田園都市」の考えを取り入れたもので、イギリスの住宅地を模したモダンなスタイルとなっています。 東口を出てすぐ。西向日住宅地の並木道が姿を現します。 田園都市というと、東急とその前身である田園都市株式会社による田園調布、多摩田園都市等が有名かと思います。これらのように田園という名前が入っていなくとも、田園都市のスタイルは各地の宅地開発で取り入れられました。 ただ、元々田園都市という言葉の元となるガーデンシティを提唱したエベネザー・ハワードは、都市への人口の集中による環境の悪化、遠距離通勤と物価の高騰などを憂い、職住が近接し、自然と共生した緑豊かな自立した都市を開発すべきとして、このガーデンシティを提唱しました。 しかし、日本において田園都市の目指すところは様々で、西向日住宅地のように専ら住宅地として開発され、近くに自然環境の残る閑静な郊外型住宅地として造られた場所が多いのが実情です。 西向日住宅地に話を戻して、街区の中心にはこの住宅地のシンボルである噴水広場があります。なかなかヨーロッパ的な光景ですね。 広場は最近注目されているラウンドアバウトになっています。 出たり止まったり。 噴水の水と並木の緑が、景観を無機質にするのを防いでいますね。 さらにもう少し西向日駅について探検しましたので、そちらはまた次回。